惨事郎(※) (1) ~邂逅篇~ | 煩悩無計画学 Ⅰ

惨事郎(※) (1) ~邂逅篇~

本日は祇園祭りの宵山ですが、ダルがりの皆様方はいかがお過ごしでしょうか。
家でもんもん派でしょうか。それとも浴衣美女やチャラ男とぶいぶい言わせる派でしょうか。


ぶっちゃけどっちでもいいけど聞いてみました。



さて、小生はといえば、周りが浮かれる中ストイックにアルバイツに勤しんでました。
そう、今日から3日に渡り、京都zou-K大で行われる社会人向けCAD講座のSA(CADオペレーターみたいなもん)として朝から晩まで酷使されてしまうのです。

とはいえ、今日一日やってみて意外と楽珍イーグルスな仕事だったので拍子抜けしました。


祇園祭真っ只中のこの日程で来る社会人の生徒達のモチベーションもすごいですね。ストイックカソリックそのものです。

ところで、事前にマコンくんに聞かされていたのですが、やはり受講する生徒達の年齢層は幅広い。
恐らく自分と年齢が殆ど変わらないであろうオニイチャンや、リストラ目前の窓際族のハゲ課長みたいな人、そして普段はクーラー効いた部屋でアイス喰いながらワイドショー見てそうな有閑マダムまで・・。

自分は普段から女性運については恵まれたためしがないので、いくら事前にマコンくんに「結構若いお姉さんも来るよ」と言われても行くまでは全く期待してませんでした。


しかし。

いたのです。

エイドリアン(※2)が。


中谷美紀と深津絵里を足して3で割って若干解像度を下げたようなその風貌は、自分の琴線に触れるばかりか、きゃなり自分の壺太郎でした。キャベツ太郎。
そう、あの壺はいいものだったのです(マ・クベ)。


彼女は講義中の課題作品が思うように作れなかったのか、6時までの講義が終わって生徒が続々と帰っていく中、残って黙々と手直しをしていました。

自分は一応SAなので、学生が全員帰るまで終われません。


カチコチ、カチコチ・・・時計の秒針は時を刻み続けてます。


しばらくして気がつくと、教室にいるのは、自分と、エイドリアンと、もう一人の若者だけになっていました。



若者よ、はよ帰れ。



是非エイドリアンとお話したい自分は願いました。


できる事なら自然に仲良くなりたい自分としては今って実は結構チャンスぢゃんね!
などと妄想に耽っていると、若者が質問があると言ってきました。自分は簡単に教える風をして、今何の作業してんすか?と軽くプレッシャーをかけてみました。勿論、こんな遅くまで何してんじゃはよ帰れや、という意味です。

が、若者は極めて楽天的に、明日の予習をしていると答えました。



せんで良い。



要らんことせずに早く帰れやと思いつつも、結構熱心に教えてしまう自分にイラつきました。
エイドリアンに絡むなら今の内だ。何せ7時までしか教室が開放されてない。

焦った自分は、若者の質問に答えた後、質問ムードに便乗してエイドリアンにも早速話しかけました。

とはいえ、操作方法とかの事務的な会話では、間がもたず、二言三言のやり取りは即時に断たれてしまいました。
やたらと絡むのも不自然なので、自分はとりあえずその場を離れ、機材などの整理をしているフリをして期が熟すのを待ちました。
そして、ようやく若者は気が済んだらしく、イソイソと帰り支度を始めました。

若者:「では、お疲れ様でした。」

自分:「お疲れ様っすぁ!」

自分は思わずガススタでバイトするヤカラの如く満面の笑みで若者の帰りを見送りました。

期は熟した!
サア、エイドリアンと話して仲良くなろう!

自分はいざ出陣、いざ鎌倉と席を立ちました。御恩と奉公。


しかし、その時歴史は動いたのです。


悲しいかな、先生が最後の見回りに戻ってきてしまったのです!そして分かったようなツラをしてどうでも良くてロクでもない建築話をおっぱじめやがったのです!

へえ、へえ、と相槌を打ってパンク野郎ばりにヘッドバンギングしている内に、ついに7時を向かえてしまいました。

時計をちらりと見たエイドリアンは無情にも席を立ち、
「お疲れ様でした。」
とドアの向こうへと消えて行ってしまいましたとさ。



・・・


まあ明日、明後日とまた同じクラスでSAなのですが、これはどうしたものでしょうか。
自発的に女の子に声かけた事なんぞありませんが、今後のためにここはやはり奮起すべき局面なのでしょうか。


まあ最後の日の帰り際にダメもとでお茶誘ってみるとかも良いかもしれませんな。玉砕したらしたでもう二度と会う事はないやろし。





(※)タイトル原題:「三四郎」夏目漱石
(※2)映画「ロッキー」 見ろや。