応用モテ人構築論講義 第一回 | 煩悩無計画学 Ⅰ

応用モテ人構築論講義 第一回

1.「余裕」の深淵


先日、いつもの如く自宅マンション(姉から借りパクしたもの)に車でプリッと帰宅し、これまたいつもの如く地下の立体駐車場に車をスコッと入れようとしていた時の御話で御座います。


車を停めるため、機械を操作し、自分の車庫ユニットが出てくるまでフンフフーンフンフーンと、鼻歌まじりで待っていた所、マンションから人が出てきました。

「チッ」

自分は往年の石原裕次郎気取りで舌打ちをせざるを得ません。
何故なら、これは自分が最も嫌いなシチュエーションの一つだからです。

機械は一度に一人しか捌けませんから、次に使いたい人は前の人が立体駐車場を使い終えるまで待たなければなりません。50平米程度の小さな空間は、独特の気まずさを助長します。

「何しとんねんはよしろや。こっちは予定がケツかっちんやねんぞ」

自分には待ってる人の無言のプレッシャーが聞こえます。
いやよ、そんなに怒らないで。

見ると、待っているのは、なかなかにウサン臭い風貌のおっさんです。結構カジュアルなジャケットスタイルに、ニット帽。ともすれば、その遊び慣れた雰囲気はAV監督の甲斐正明級です。


自分は駐車ユニットの柵が開くなり、急いでバックで車を突っ込みます。そう、バックで突っ込むのがこの駐車場の鉄則。
違うバックは好きですが、このバックはどうも・・


などと卑猥な事を反射的に考えつつ、(車を)入れようとすると、


あれ?斜めった!!このままじゃ入らん!!


と、
半分くらい入庫してから、再び前進します。

再び挿入。というか車庫入れ。


「キュキュキュキュッ!キィィキキー!」


あれ?タイヤ擦った!!このままじゃ入らん!!


と、
またもや半分くらい入庫してから、再び前進します。


やべえよ、焦って入らん。
いつもは出来るのに・・まるでチェリィボウイみたいじゃないか!
認めん、認めんぞ!


と、躍起になって数回半分入庫、やり直しを繰り返した後、何とか入庫完了。
ひとりでできるもん。(http://pya.cc/pyaimg/pimg.php?imgid=6328

最後に再び機械を操作して柵を閉じるため、おずおずと車を降り、機械に向かいます。
おっさんが待ってるので、気が小さい自分は焦りながら小走りで操作してしまいます。

「すいません」

自分は気恥ずかしさのあまり、伏目がちにおっさんに言いました。

その時、オヤジは動いた。(NHK)



「いやいや、焦んなくていいよ。駐車場、狭いからねえ。(ニコッ)」



パチン!


赤い実がはじけました。


自分はゲイではありませんから、おっさんに恋はしませんでしたが、もし自分が女性なら、

「何も言わずに抱いて下さい。」

と、おっさんの胸に飛び込んでいたでしょう。

そうか、これなのか。
そう、これなのだよ。

人は、歴史が始まって以来、どうしたらモテるのか、その隠されたメカニズムに頭を悩ませ、持てる限りの情熱と英知を注ぎ込んできたのは、皆さんの知るところであると思います。
その、機構の原初の姿を、自分は目撃したのです。

まさしく「the beginning」。
この時、自分にはルイス・カーンが憑依していたに違いありません。


詰まるところ、このエロそうなおっさんの見せた何気ない「余裕」。


これこそが深淵だったのです。


そこには、キリストも驚愕するであろう無限の隣人愛と、谷村新司や高田順次のみ持ち得ると言われている爽やかな「ちょっぴりエロス」が絶妙に溶け合ったカクテルがあるのです。
全てを許す下心とでも言いましょうか。

これには流石のマチコ先生も「まいっちんぐ」を連発するに違いありません。(参考:http://www.ne.jp/asahi/office/momiji/machiko/machiko.html

思えば、かつて群雄割拠した数々の武将達も、心理戦においてはこの「余裕」という精神的アドヴァンテージを最重要視していました。棋戦における羽生名人の戦略(直線的な手順での決着を避け、局面を複雑化させ、常に心的優位に立つことで、相手のミスを誘う)もこの余裕というものが最大の勝利の要因になる事を実証しています。


いわんや、恋愛をや。


という事で、応用モテ構築論、記念すべき第1回目のキーワードは、この「余裕」です。
是非ノートをとって置いてください。


以後、難攻不落の異性を攻略せんとする勇猛果敢な猛者諸兄にとって、この「余裕」は非常に心強い武器となる事を、ここに約束しましょう。